酔いが深いお客さんほど慎重かつ丁重な対応を

タクシーならではのイメージなのかな?接客と酔っ払いに関するワードの需要が高いように思えます。タクシー=夜中の酔っ払いのイメージが強いのか?

今日の明け方もそうだったけどどの地域で営業しようとも、深夜帯や明け方の需要って飲み屋さんって外せないのですね。

良い場合もあるしヤヴァイ場合もあるので、ケースバイケースと言えます。

今朝も非常に手強い泥酔状態のお客さんお乗せしたけど、最小限の時間ダメージで抑えられた、いわゆる水際の攻防を上手くしのげたので酔客に対しての上手な接客とは何か?を考えてみます。

酔客VS乗務員の一進一退の激しい攻防合戦!

酔客の方って「上戸(じょうご)」って言葉が付随してくるケースが多いように感じました。

困るのは「キレ上戸」で、逆に助かるのは「笑い上戸」のパターン。

笑い上戸さんは、酩酊状態にまでお陥っていないので大抵は素直に「行き先・目的地」をしっかり伝えてくれます。

何事もそうだけど、生きる上でもお酒をたしなまれるにしろ、明るい方を選んでもらいたいのですよ、接客する方としては。

今日のパターンはやや明るいのだけど、基本は泥酔状態なので絡み酒となってくるので、そうなるとベースはダークな絡みとなります。

店員さんが玄関まで送ってるということは「はやく帰ってね」系のお客さんなのでしょう。

ヤバイ、ハーフパンツが完全にずり落ちてる。

こういう時のイヤな予感って高確率で当たるものです。

店員さんに半ば強制的に見送られご乗車。

乗るやいなや「行き先はぁ~、●町」とのこと。

お、スンナリ行き先いってくれて良かった、と一瞬安堵したら

「あ、止めた。やっぱむし暑いから(朝6時)川に入りたい。多摩川まで行ってくれ。」

ワタシ「・・・。」

油断できないのですよ、こうなったらまともに行き先聞こうとしてもまず無理で、まともに話してくれるケースは少ないです。

こうなると、どうするべきなのか?いったん最初に●町と言われて走りましたが止まります。

最悪なケースは●町に行ったのに「ふざけるな!ここじゃねえ!(怒」ってなるパターンが往々にあります。

なので、ある程度ハッキリ目的地を聞けるまで下手に動かない方が得策と言えるのです。

とりあえずの目的地は「多摩川」(なわけないのですが・笑)

まともに返してもラチがあかない状況です、ユーモアをちょっとだけ交えて返します。

「多摩川もね、下流から上流まで見ると100何十kmあるんで、もうちょっとヒントもらえませんかね?●町ならすぐなんだけど(最初の言ってた地名)」

「いや多摩川、ニコタマ(二子玉川駅)から川に入ってくれ」

「クルマごと入っちゃうとワタシ共々、二度と出られなくなっちゃんで入れないんすよ(半ギレながら笑)、泳ぎはまたにしてお家にしませんか?」

「いや、川に入りたいんだよ~うんたらかんたら」

こうなると、一向に目的地なんぞ行ってくれません。挙句の果てにイライラして「早くいけよ!(怒号)」のパターンです。

こういう時はどうするか?最寄り駅を探します。時間は朝6時、十分に電車は動いている時間だ。幸い、乗車した場所は駅からすぐ近くの飲み屋さんだった。

もう一つ確認しておきたいのは、交番の所在地。これ非常に重要です。

これまた幸い、駅の真横に交番を確認。しかし、よくあるあるパターン「お巡りさんが交番にいない」のです。

こういった場合、室内にある内線電話を使って、所轄の警察署に「自分で」連絡して事情を話して現場に来てもらうしかありません。

来てもらうようになると、場所にもよりますが最低でも15分前後は見ておかないとまず現着はしないでしょう。

ローカル地区だと結構な頻度で朝方ってお巡りさん方も「仮眠」とってる場合が多く、すぐには来てくれません。

今回はこれまた不幸中の幸いか、お客さんが眠り込む前だったので最低限のやり取りは可能でした。

とりあえず駅に止めて、目的地がハッキリ分からないと走らせることは出来ないよ、とココはしっかり伝えます。

うやむやに言われたままに走ると、大トラブルになるので分からない時は必ず止まる。

これでもし騒ぎはじめ「とっとと走れ!行きやがれ」なんてパターンだったら、旅客の運送を中止しましょう。

我々には安全な運行が確保できない時など、やむを得ない状況の時は旅客運行の中止(乗車拒否)を申し渡す事が出来ます。

この場合「旅客の要求が法令規則を超えたり、公の秩序に反する場合」に相当すると言えます。

いきなり運行中止しても揉めるの必至なので、先ほど挙げた交番の目星だけつけておけば、最低限は何とかなるという事でした。

いざという時は身の安全が最優先、逃げる動線を確保し駆け込みましょうぞ。

泥酔のお客様は言葉遣いと態度には非常に敏感な事実

今回のワタシの場合、この30分後に予約のお客さんを抱えていたので、何とか無事にこの場をしのぎたいところ。

「とりあえず、このまま目的地がはっきりしないと運行は出来ないので、お代は結構ですから、ここ駅前だから電車使われた方が早いかもしれませんよ。(←ここだけ多摩川に飛び込む前提(笑)」

と、言いながらさりげなく後部ドアを半ドアにします。ドアを開けて降りて!というと問題になりますので、自発的に降りて頂きやすくします。

今日のケースもそうですから「お代は結構ですから」っていうと、酔っ払いさんも記憶には無いだろうがプライドがあるのかもしれません。そうすると

「いんあ、金は払う!いくら?!」

といって、ボロボロの千円札を放ってきますが、こちらも半ばお金を頂くのは諦めてたので非常にラッキーなケースでした。

こういう時ほど、散々時間取られて絡まれて損した!と怒りカッカするよりも、いかに被害を最小限にしてこの場をしのぐか、と考えた方がトラブルは極力起きないと言えます。

何が何でも回収しようとすると(金額にもよりますが)、酔客に火に油を注ぐような形になりかねません。

今回も損切りという形で止むなく「お代は結構ですから」を用いましたが、明らかに運行の継続が難しい場合はこのような損切りをするか、法令を用いて旅客の運送を中止しますとハッキリ態度で示すのも非常に有効です。

こういう熱くなりやすい状況ほど、いま一度冷静な判断が望まれます。そして何よりも、単純にこの状況から解放されたいってのが一番でした。

降りる間際に接吻を迫られましたが「ワタシはどちらかというと女性の方が好きでして」とかアホなこと言って、速やかに駅から撤収させて頂きました。

まとめ

接客も人生も難局を乗り越える極意たるは

「押してダメなら引いてみろ」

先人はよい言葉を我々に残してくれたものだと感服するばかりでありまするゆえ。